
アパートの手残り(キャッシュフロー)を1枚の表にする方法
家賃、空室損、管理費、修繕費、固定資産税、保険料、返済を1年分ずつ縦に並べると、アパートの手残りが1枚の表で分かります。数字をどの書類から拾うか、金利が1%上がった場合の列をどう足すかを、木造8戸のアパートを例にした具体的な計算表で示します。
続きを読む
金利上昇で増えた返済を家賃の値上げでまかなうには、何円上げればよいのか。必要な値上げ幅の計算方法と、地方で家賃を上げられる条件と限界、更新や入れ替わりのタイミングで起きる現実、入居者への伝え方までを、試算例と比較の表を使って具体的に紹介します。
返済の増加を1戸あたりに割ると必要な値上げ幅は小さく見えますが、実際に上げられるのは相場より安い部屋や入居者が入れ替わる部屋に限られがちです。値上げだけで全額をまかなう前提は置かず、経費の見直しや売却との比較もあわせて考えるのが現実的です。
家賃の値上げで返済の増加をまかなえるかは、「必要な値上げ額」と「実際に上げられる部屋の数」の両方を計算しないと分かりません。1戸あたりの必要額は数千円程度に収まることが多い一方、地方ではすべての部屋で一斉に家賃を上げるのは難しいのが実情です。
都市銀行の短期プライムレート(銀行が短期の貸出で基準にする金利)の最頻値は、2026年8月3日に2.375%へ引き上げられました。返済の増加が見えてきた段階で、家賃でどこまで補えるかを数字で確かめておくと、次の打ち手を選びやすくなります。
計算は難しくありません。年間の返済の増加額を、戸数と12ヶ月で割るだけです。
例えば、試算の前提を「残債5,000万円・残り20年・元利均等返済で、金利が2.0%から2.5%に上がる。10戸のアパートで、家賃は1戸月5万円」とします。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 毎月の返済の増加 | 約1.2万円(約25.3万円→約26.5万円) |
| 年間の返済の増加 | 約14.4万円 |
| 全10戸で分担した場合の1戸あたりの値上げ | 月約1,200円(家賃の約2.4%) |
| 年に2戸だけ値上げできた場合の1戸あたりの必要額 | 月約6,000円(家賃の約12%) |
全戸で分担できれば小さな額ですが、値上げできる部屋が限られると、1戸あたりの必要額は一気に大きくなります。この差が、家賃の値上げで返済増をまかなう難しさです。
家賃は、近くの似た部屋の家賃と比べて決まります。物価が上がっていても、周辺の相場が動かなければ、自分の物件だけ上げるのは簡単ではありません。
総務省の消費者物価指数(2026年7月分)では、民営家賃は前年同月比で0.7%の上昇でした。同じ時期に、住まいの「設備修繕・維持」は4.1%上がっています。家賃の上がり方は、修繕にかかる費用の上がり方よりゆるやかです。全国の数字なので個別の物件には当てはめられませんが、家賃だけで費用の増加を追いかける難しさがうかがえます。
そのうえで、値上げが通りやすいのは次のような場合です。
周辺の空室の多さや募集期間の調べ方は、賃貸需要の調べ方の記事で紹介しています。
家賃を上げる機会は、主に契約の更新時と、入居者が入れ替わって新しく募集するときの2つです。どちらにも限界があります。
| 機会 | できること | 限界 |
|---|---|---|
| 更新時の値上げ | 今の入居者に家賃の改定を相談する | 入居者の合意が基本。断られることもあり、退去につながるおそれがある |
| 入れ替わり時の値上げ | 募集家賃を上げて新しい入居者を探す | 入れ替わる部屋の数しか上げられない。高すぎると空室が長引く |
とくに気をつけたいのは空室の期間です。月5万円の部屋が1ヶ月空くだけで、5万円の収入がなくなります。月1,000円の値上げを1年続けても1.2万円なので、値上げがきっかけで退去や空室が長引けば、かえって収支は悪くなります。
入居者が合意しない場合の扱いは法律の解釈に関わるため、進め方に迷うときは弁護士などの専門家に確認が必要です。
値上げを相談するときは、一方的な通知ではなく、理由と時期が伝わる形にすると受け止められやすくなります。
地方の物件では、長く住み続けてくれる入居者が収支を支えていることが多いものです。値上げで得られる金額と、その入居者が退去した場合の空室や原状回復の費用を比べ、どの部屋で相談するかを選ぶのが現実的と言えます。
管理委託料や保険などの経費の見直し、借入の条件の見直し、そして売却との比較を並べて考えます。返済の増え方そのものは金利が1%上がった場合の試算の記事で確かめられます。
家賃本体より入居者の抵抗が小さい場合があり、選択肢の一つになります。ただし、周辺の物件と比べて高くなれば入居付けに響く点は家賃と同じです。合計の負担額で比べられることを前提に考えます。
収益物件は家賃をもとに評価されるため、実際に入居者が払っている家賃が上がれば、評価にはプラスに働きます。ただし、相場より高すぎる家賃は買主が見直しを前提に評価するため、そのまま価格に乗るとは限りません。
値上げでどこまで補えるかを計算してみると、持ち続けるか売るかを考える材料にもなります。ITTOAでは地方の収益物件を自社で買い取っており、今の家賃のまま売った場合の価格を無料で査定しています。比較の数字としてお気軽にご相談ください。

家賃、空室損、管理費、修繕費、固定資産税、保険料、返済を1年分ずつ縦に並べると、アパートの手残りが1枚の表で分かります。数字をどの書類から拾うか、金利が1%上がった場合の列をどう足すかを、木造8戸のアパートを例にした具体的な計算表で示します。
続きを読む
地方の築古アパートは、同じ金利の上昇でも、融資期間の短さ、担保評価の低さ、家賃を上げにくいことが重なり、金利上昇の影響が表に出やすい物件です。ただし、返済額の増え方そのものは意外と小さい場合もあります。影響の出方を試算とチェック表で具体的に示します。
続きを読む
築古や地方の収益物件は、買主が融資を受けにくく、仲介で買い手が付いても審査で話が流れることがあります。現金で買う買主は価格が控えめになりやすい一方、融資の審査がないため契約から決済までが読みやすくなります。どんな物件で現金の買主が現実的かを示します。
続きを読む売却するべきか迷っている段階の
ご相談も歓迎しています。
秘密は厳守します。