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金利・返済

アパートの手残り(キャッシュフロー)を1枚の表にする方法

アパートの手残り(キャッシュフロー)を1枚の表にする方法のイメージ

家賃、空室損、管理費、修繕費、固定資産税、保険料、返済を1年分ずつ縦に並べると、アパートの手残りが1枚の表で分かります。数字をどの書類から拾うか、金利が1%上がった場合の列をどう足すかを、木造8戸のアパートを例にした具体的な計算表で示します。

結論

手残りの表は、満室想定の家賃から空室損と経費を引き、さらに年間の返済額を引く順番で作ります。金利が上がった場合の列を横に足しておくと、持ち続けるか売るかを数字で比べられるようになります。

アパートの収支が「なんとなくプラス」なのか、「実はぎりぎり」なのかは、1年分の入金と出金を1枚の表に並べると分かります。通帳の残高だけを見ていると、年に一度の税金や修繕が重なった年に、急に苦しく感じることになりがちです。

表は難しいものではありません。上から家賃、空室損、経費、返済の順に並べ、最後に手残り(キャッシュフロー。返済まで払い終えて手元に残るお金)を出します。金利が上がった場合の列を横に足せば、先の見通しも立てやすくなります。

表の骨組み:上から順に引いていく

行の順番には意味があります。物件そのものの稼ぐ力と、借入の重さを分けて見られるようにするためです。

  1. 満室想定の家賃:全室が埋まった場合の1年分の家賃と共益費、駐車場代
  2. 空室損:空いていた部屋の分と、滞納で入らなかった分
  3. 運営の経費:管理委託料、修繕費、固定資産税・都市計画税、保険料、共用部の電気・水道・清掃、募集の広告料や原状回復費
  4. NOI(営業純収益。家賃から経費を引いた、返済前の収入)
  5. 年間の返済額:元金と利息の合計
  6. 手残り:NOIから返済額を引いたもの

4のNOIまでが物件の力、5と6が借入の影響です。NOIは十分なのに手残りが少ないなら、借入の条件に原因があると言えます。

数字はどの書類から拾うか

感覚ではなく、書類の実額で埋めるのがこの表の価値です。主な出どころは次のとおりです。

行 拾う書類 注意点
家賃・空室損 レントロール(家賃明細表)、管理会社の月次報告 12ヶ月分を合計する。1ヶ月分を12倍にしない
管理委託料・広告料 管理会社の月次報告、送金明細 家賃から差し引かれて振り込まれている場合がある
修繕費・原状回復費 請求書、通帳の出金 管理会社経由の工事と、自分で頼んだ工事の両方を拾う
固定資産税など 納税通知書 年4回払いでも1年分で書く
保険料 保険証券 数年分を一括で払った場合は1年あたりに割る
返済額 返済予定表 元金と利息の合計で書く

とくに見落としやすいのが、家賃から差し引かれている費用です。振込額だけを家賃として書くと、経費が二重に抜けたり漏れたりします。

計算例:8戸のアパートの1年分

例えば、次の前提で表を作ってみます。木造8戸、1戸あたりの家賃は月5万円。借入の残りは3,000万円、残りの返済期間は20年、元利均等返済(毎月の返済額が一定の返し方)です。金利が2.0%の場合と、1%上がって3.0%になった場合を並べます。

項目(年間) 金利2.0% 金利3.0%
満室想定の家賃 480万円 480万円
空室損(10%と仮定) −48万円 −48万円
管理委託料 −22万円 −22万円
修繕費 −30万円 −30万円
固定資産税・都市計画税 −25万円 −25万円
保険料 −5万円 −5万円
共用部の光熱費・清掃 −12万円 −12万円
広告料・原状回復費 −20万円 −20万円
NOI 318万円 318万円
年間の返済額 −182万円 −200万円
手残り(税引前) 136万円 118万円

返済額は、残り20年の全期間に新しい金利がかかると仮定して計算しています。この例では、金利が1%上がると手残りが年18万円ほど減ります。実際に返済額がいつ変わるかは、金利タイプや契約によって異なります。

金利が上がった場合の列の足し方

列を足す手順は3つです。まず、表をそのまま横にコピーします。次に、返済額の行だけを新しい金利で計算し直します。最後に、手残りを出し直します。

返済額の計算は、金融機関のローン計算の画面や、表計算ソフトのPMT関数(毎回の返済額を求める関数)で行えます。借入の残り、残りの期間、新しい金利の3つを入れれば出てきます。

余裕があれば、「空室損を20%にした列」や「修繕費を倍にした列」も足してみてください。金利と空室が同時に悪くなった場合にどこまで耐えられるかが分かります。返済が家賃に占める割合は返済比率の計算、借入額別の増え方は金利が1%上がると、毎月の返済はいくら増えるのかも参考になります。

よくある質問

税金はこの表に入れなくてよいのですか。

この表は、物件の収支と借入の重さを見るためのものなので、所得税や住民税は入れていません。帳簿上の利益と手元のお金の動きは一致しないため、税金を含めた手残りは税理士に確認が必要です。

大規模修繕の費用は、どの年に入れればよいですか。

実際に払う年に入れると、その年だけ大きな赤字に見えます。毎年の表とは別に、今後5年ほどの工事予定と概算を下に書き添えておくと、先の資金繰りを見通しやすくなります。

表ができたら、判断の材料にする

表を作ったら、次の3点を確かめてみてください。

  • 金利が1%上がった列でも、手残りがプラスを保てるか
  • 手残りの金額で、今後5年の修繕予定をまかなえるか
  • 空室損を実績より厳しくした列で、手残りがどこまで減るか

1枚の表があれば、持ち続ける場合の見通しと、売った場合の手取りを同じ土俵で比べられます。査定を依頼するときにも、この表があると話が早く進むでしょう。

ITTOAの査定は無料で、売却を決めていない段階のご相談にも対応しています。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたものです。個別の物件については状況によって判断が変わりますので、具体的な相談はお問い合わせフォームまたはお電話でお寄せください。

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