
地方の築古アパートは、金利上昇の影響を受けやすいのか
地方の築古アパートは、同じ金利の上昇でも、融資期間の短さ、担保評価の低さ、家賃を上げにくいことが重なり、金利上昇の影響が表に出やすい物件です。ただし、返済額の増え方そのものは意外と小さい場合もあります。影響の出方を試算とチェック表で具体的に示します。
続きを読む
家賃、空室損、管理費、修繕費、固定資産税、保険料、返済を1年分ずつ縦に並べると、アパートの手残りが1枚の表で分かります。数字をどの書類から拾うか、金利が1%上がった場合の列をどう足すかを、木造8戸のアパートを例にした具体的な計算表で示します。
手残りの表は、満室想定の家賃から空室損と経費を引き、さらに年間の返済額を引く順番で作ります。金利が上がった場合の列を横に足しておくと、持ち続けるか売るかを数字で比べられるようになります。
アパートの収支が「なんとなくプラス」なのか、「実はぎりぎり」なのかは、1年分の入金と出金を1枚の表に並べると分かります。通帳の残高だけを見ていると、年に一度の税金や修繕が重なった年に、急に苦しく感じることになりがちです。
表は難しいものではありません。上から家賃、空室損、経費、返済の順に並べ、最後に手残り(キャッシュフロー。返済まで払い終えて手元に残るお金)を出します。金利が上がった場合の列を横に足せば、先の見通しも立てやすくなります。
行の順番には意味があります。物件そのものの稼ぐ力と、借入の重さを分けて見られるようにするためです。
4のNOIまでが物件の力、5と6が借入の影響です。NOIは十分なのに手残りが少ないなら、借入の条件に原因があると言えます。
感覚ではなく、書類の実額で埋めるのがこの表の価値です。主な出どころは次のとおりです。
| 行 | 拾う書類 | 注意点 |
|---|---|---|
| 家賃・空室損 | レントロール(家賃明細表)、管理会社の月次報告 | 12ヶ月分を合計する。1ヶ月分を12倍にしない |
| 管理委託料・広告料 | 管理会社の月次報告、送金明細 | 家賃から差し引かれて振り込まれている場合がある |
| 修繕費・原状回復費 | 請求書、通帳の出金 | 管理会社経由の工事と、自分で頼んだ工事の両方を拾う |
| 固定資産税など | 納税通知書 | 年4回払いでも1年分で書く |
| 保険料 | 保険証券 | 数年分を一括で払った場合は1年あたりに割る |
| 返済額 | 返済予定表 | 元金と利息の合計で書く |
とくに見落としやすいのが、家賃から差し引かれている費用です。振込額だけを家賃として書くと、経費が二重に抜けたり漏れたりします。
例えば、次の前提で表を作ってみます。木造8戸、1戸あたりの家賃は月5万円。借入の残りは3,000万円、残りの返済期間は20年、元利均等返済(毎月の返済額が一定の返し方)です。金利が2.0%の場合と、1%上がって3.0%になった場合を並べます。
| 項目(年間) | 金利2.0% | 金利3.0% |
|---|---|---|
| 満室想定の家賃 | 480万円 | 480万円 |
| 空室損(10%と仮定) | −48万円 | −48万円 |
| 管理委託料 | −22万円 | −22万円 |
| 修繕費 | −30万円 | −30万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | −25万円 | −25万円 |
| 保険料 | −5万円 | −5万円 |
| 共用部の光熱費・清掃 | −12万円 | −12万円 |
| 広告料・原状回復費 | −20万円 | −20万円 |
| NOI | 318万円 | 318万円 |
| 年間の返済額 | −182万円 | −200万円 |
| 手残り(税引前) | 136万円 | 118万円 |
返済額は、残り20年の全期間に新しい金利がかかると仮定して計算しています。この例では、金利が1%上がると手残りが年18万円ほど減ります。実際に返済額がいつ変わるかは、金利タイプや契約によって異なります。
列を足す手順は3つです。まず、表をそのまま横にコピーします。次に、返済額の行だけを新しい金利で計算し直します。最後に、手残りを出し直します。
返済額の計算は、金融機関のローン計算の画面や、表計算ソフトのPMT関数(毎回の返済額を求める関数)で行えます。借入の残り、残りの期間、新しい金利の3つを入れれば出てきます。
余裕があれば、「空室損を20%にした列」や「修繕費を倍にした列」も足してみてください。金利と空室が同時に悪くなった場合にどこまで耐えられるかが分かります。返済が家賃に占める割合は返済比率の計算、借入額別の増え方は金利が1%上がると、毎月の返済はいくら増えるのかも参考になります。
この表は、物件の収支と借入の重さを見るためのものなので、所得税や住民税は入れていません。帳簿上の利益と手元のお金の動きは一致しないため、税金を含めた手残りは税理士に確認が必要です。
実際に払う年に入れると、その年だけ大きな赤字に見えます。毎年の表とは別に、今後5年ほどの工事予定と概算を下に書き添えておくと、先の資金繰りを見通しやすくなります。
表を作ったら、次の3点を確かめてみてください。
1枚の表があれば、持ち続ける場合の見通しと、売った場合の手取りを同じ土俵で比べられます。査定を依頼するときにも、この表があると話が早く進むでしょう。
ITTOAの査定は無料で、売却を決めていない段階のご相談にも対応しています。

地方の築古アパートは、同じ金利の上昇でも、融資期間の短さ、担保評価の低さ、家賃を上げにくいことが重なり、金利上昇の影響が表に出やすい物件です。ただし、返済額の増え方そのものは意外と小さい場合もあります。影響の出方を試算とチェック表で具体的に示します。
続きを読む
築古や地方の収益物件は、買主が融資を受けにくく、仲介で買い手が付いても審査で話が流れることがあります。現金で買う買主は価格が控えめになりやすい一方、融資の審査がないため契約から決済までが読みやすくなります。どんな物件で現金の買主が現実的かを示します。
続きを読む
金利が上がっても、買主が一斉に手を引くわけではありません。借入に頼る度合いで動き方が分かれます。融資の割合が高い個人投資家、現金の割合が高い法人、買取業者の3つに分けて、金利上昇で何が変わるか、売主の価格・期間・確実さにどう響くかを、2026年時点の調査と試算で示します。
続きを読む売却するべきか迷っている段階の
ご相談も歓迎しています。
秘密は厳守します。