
融資が付きにくい収益物件は、現金で買う買主に売るという選択
築古や地方の収益物件は、買主が融資を受けにくく、仲介で買い手が付いても審査で話が流れることがあります。現金で買う買主は価格が控えめになりやすい一方、融資の審査がないため契約から決済までが読みやすくなります。どんな物件で現金の買主が現実的かを示します。
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地方の築古アパートは、同じ金利の上昇でも、融資期間の短さ、担保評価の低さ、家賃を上げにくいことが重なり、金利上昇の影響が表に出やすい物件です。ただし、返済額の増え方そのものは意外と小さい場合もあります。影響の出方を試算とチェック表で具体的に示します。
影響を受けやすい面はありますが、理由は返済額の増え方よりも「もともと返済が重く余裕が少ない」「借り換えがしにくい」「家賃を上げにくい」点にあります。残債が小さい物件では影響が限られるため、自分の物件の返済比率と残債で確かめるのが確実です。
地方の築古アパートは、金利上昇の影響が表に出やすい物件と言えます。ただし、その理由は「返済額が大きく増えるから」だけではありません。もともと返済の余裕が少なく、借り換えや家賃の値上げで吸収しにくいことが大きく効いてきます。
反対に、残債(ローンの残り)が小さい物件や、借入のない物件では、影響は限られます。一律に「築古は危ない」と考えるのではなく、ご自身の物件の数字で確かめることが大切です。
背景として、日本銀行の「貸出約定平均金利」は、銀行が実際に貸している金利の平均です。アパートローンだけの数字ではありませんが、全体の流れはつかめます。
国内銀行の貸出残高全体の平均金利は、2024年3月の0.804%から2026年7月には1.483%へ、約0.68ポイント上がりました。信用金庫の新規貸出の平均金利も、同じ期間に1.435%から2.194%へ上がっています。地方のオーナーが地元の金融機関から借りている場合も、こうした流れと無関係ではないでしょう。
築年数の古い建物には、長い期間で融資が出にくい傾向があります。期間が短いと、毎月の返済額のうち元金の割合が大きくなり、返済そのものが重くなります。
意外に思われるかもしれませんが、金利が上がったときの返済の増え方は、期間が短いほうが小さくなります。利息よりも元金の返済が中心だからです。次の試算で確かめてみます。
試算の前提は、借入3,000万円、元利均等返済(毎回の返済額が一定になる返し方)、金利が2.0%から3.0%に上がった場合です。家賃収入は月40万円とします。
| 残りの期間 | 金利2.0%の返済 | 金利3.0%の返済 | 増える額 | 返済比率の変化 |
|---|---|---|---|---|
| 15年 | 月約19.3万円 | 月約20.7万円 | 約1.4万円 | 約48%→約52% |
| 30年 | 月約11.1万円 | 月約12.6万円 | 約1.6万円 | 約28%→約32% |
返済比率とは、家賃収入のうち返済に回る割合(年間返済額÷年間家賃収入)です。増える額はほぼ同じでも、15年のほうはもともと家賃の半分近くが返済に消えていることが分かります。ここに空室や修繕費が加わると、手残りが一気に薄くなります。
担保評価とは、金融機関が見積もる物件の価値のことです。地方の築古アパートは、建物の評価がほとんど残っていないことが多く、土地の値段が評価の中心になります。
そのため、金利の低い金融機関へ借り換えたり、返済期間を延ばしたりする手が使いにくくなります。住宅金融支援機構の調査(2026年3月公表)では、金融機関がアパートローンで最も重視する点は「物件の収支バランス」でした。収支に余裕のない物件ほど、条件の見直しを受けにくいと考えておくのが現実的です。
総務省の消費者物価指数(2026年7月分)では、民営家賃は前年同月比+0.7%でした。そのうち木造は+0.2%にとどまっています。一方で、住居の「設備修繕・維持」は+4.1%、外壁塗装費は+7.8%でした。
家賃は入居者が入れ替わるときに見直すのが一般的で、長く住んでいる入居者の家賃を上げるのは簡単ではありません。地方では、周辺の新しい物件との競争もあります。
これは全国の平均で、個別の物件の採算を示すものではありません。ただ、築古の物件は修繕の頻度が高く、周辺に競合も多いため、上がった費用を家賃に転嫁しにくい立場にあると言えます。
| 項目 | 影響が大きくなりやすい | 影響が小さくなりやすい |
|---|---|---|
| 金利の種類 | 変動金利で、見直しのたびに返済額が変わる | 固定金利の期間が残っている |
| 返済比率 | 50%前後かそれ以上 | 30%程度までに収まっている |
| 残債と価格の関係 | 残債が今の価格の目安を上回る | 残債が小さい、または借入がない |
| 空室と家賃 | 空室が続き、家賃も下がってきた | 入居が安定している |
| 修繕の予定 | 屋根・外壁・給排水の工事が数年内に来る | 主要な工事を済ませてある |
とくに「残債と価格の関係」は、売却を選べるかどうかに直結します。残債が価格の目安を上回っていると、売るときに自己資金が必要になるためです。
左の列に当てはまる項目が多いほど、金利が上がったときに打てる手が少なくなります。当てはまる数を数えるだけでも、優先して考えるべきことが見えてくるでしょう。
売れなくなるわけではありません。融資を使う買主は減りやすくなりますが、現金で買う買主もいます。その違いは融資に頼らない買主に売るという選択で紹介しています。
返済への影響はありません。ただし、買主の借入コストが上がると、売却価格に影響する可能性はあります。持ち続けるなら、修繕費や家賃の動きのほうが重要でしょう。
まずは返済比率と残債を出し、上のチェック表に当てはめてみてください。返済比率の出し方は返済比率の計算の記事にまとめています。
ITTOAは地方の築古アパートを自社で買い取っており、旧耐震や空室の多い物件も対象です。査定は無料で、持ち続けるかどうか迷っている段階でもご相談いただけます。

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