
買取価格はなぜ安いのか。再生費用・リスク・利益に分けて見る
買取価格が仲介の想定価格より低くなるのは、業者が再生後の売値から修繕費・諸経費・想定外への備え・利益を差し引いて価格を出すためです。差し引かれている項目を1つずつ分解し、売主の資料や情報で小さくできる部分がどこかを試算例とあわせて示します。
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新築の建築費が上がると、中古の収益物件は相対的に見直されやすくなります。一方で、修繕や改装の費用も同じように上がっているため、価値が上がるとは限りません。2026年時点の公的な統計を踏まえ、プラスに働く場面と差し引かれる場面を計算例で比べました。
建築費の高騰は、新築との比較や積算評価の面では中古物件の価値を支える方向に働きます。ただ、修繕費も上がり、家賃はそれほど上がっていないため、築古で手を入れる必要がある物件ほど価値が上がりにくいのが実情です。
新築のアパートやマンションを建てる費用が上がっていると聞いて、「それなら中古の自分の物件の価値も上がるのでは」と考える方もいるでしょう。答えは、価値を支える面はあるものの、修繕費も上がっているため、物件の状態によって結果が分かれるというものです。
建築費の上昇は、中古物件にとってプラスとマイナスの両方に働きます。どちらが大きくなるかは、築年数と、これから必要になる工事の量で変わります。
国土交通省の建設工事費デフレーター(工事費の水準を示す指数)では、2026年6月の住宅総合が126.9でした。前年同月の121.6と比べて約4.4%の上昇です。なお、直近の数ヶ月分は暫定値で、後から改定されることがあります。
総務省の消費者物価指数(全国、2026年7月分)では、住居の「設備修繕・維持」が前年同月比で4.1%上がっています。一方で、民営家賃の上昇は0.7%にとどまりました。
工事や修繕の費用の上がり方に比べて、家賃の上がり方は小さいと言えます。ただし、これは全国の平均です。個々の物件の収支がどう変わったかは、その物件の数字を見て判断する必要があります。
新築の建築費が上がると、同じ家賃で貸したとしても、新築の利回り(年間家賃÷物件価格)は下がります。投資家から見ると、新築を建てるより、すでに建っている物件を買うほうが収支が合いやすい場面が出てきます。
また、新築の供給が抑えられれば、近隣に競合となる新しい物件が建ちにくくなります。これは既存の物件の入居付けにとってプラスに働くことがあります。
積算評価(土地と建物の価値を足し上げる評価方法)では、建物を「今建て直したらいくらかかるか」から、古くなった分を差し引いて評価します。建築費が上がれば、この建て直しの費用が上がるため、建物部分の評価も上がる方向に動きます。考え方は積算評価とは何かでも紹介しています。
一方、中古物件を買う人は、買った後に必要な工事の費用を差し引いて価格を考えます。修繕費が上がれば、差し引く額も大きくなります。
こうした物件では、建築費の上昇が価値を支える効果より、工事費の増加で差し引かれる額のほうが大きくなりやすいでしょう。日本不動産研究所の不動産投資家調査(2026年4月時点)でも、投資家が挙げたリスク要因として「建築費の高騰、管理費等ランニングコストの上昇」が「金利の上昇」に次いで多く選ばれています。
さらに、工事費が上がり続けている時期は、見積もりを取った時点と実際に工事をする時点で金額が変わることがあります。買主はその分の余裕も見込むため、工事の範囲がはっきりしない物件ほど、差し引く額を大きめに置く傾向があります。
考え方を示すため、仮の数字で比べます。試算の前提は、建て直し費用が5,000万円から4%上がって5,200万円になり、工事費も4%上がったというものです。実際の上がり方は工事の内容や地域で違います。
| 項目 | A:築15年・大きな修繕は当面なし | B:築35年・外壁と改装が必要 |
|---|---|---|
| 建物の価値が残っている割合(仮定) | 5割 | 1割 |
| 建物部分の評価の増加 | 200万円×5割=100万円 | 200万円×1割=20万円 |
| 買った後に必要な工事費(上昇前) | 200万円 | 1,000万円 |
| 工事費の増加(4%) | 8万円 | 40万円 |
| 差し引き | プラス92万円 | マイナス20万円 |
このように、建物の価値が多く残り、工事の予定が少ない物件ほど、建築費の上昇が価値を支える方向に働きます。反対に、築年数が古く工事が必要な物件では、差し引きがマイナスになることもあります。
実際の価格は、収益還元法(家賃収入から価値を求める方法)や地域の需要でも決まるため、この差し引きだけで価格が決まるわけではありません。
修繕にかけた費用が、そのまま価格に上乗せされるとは限りません。どの工事が価格に反映されやすいかは、大規模修繕を控えた物件は、直してから売るべきかで考え方を紹介しています。
地方では、周辺の家賃相場より高くすると空室が長引くことがあります。家賃を上げられるかは、近隣の募集状況を確かめてから判断するのが確実です。
建築費の上昇は、ニュースで聞くと中古物件に追い風のように感じられるかもしれません。しかし、実際にはこれから必要な工事の量によって、影響の向きが変わります。
まずは、ここ数年で行った修繕と、今後5年ほどで必要になりそうな工事を書き出してみてください。工事の予定が少なければ価値を支える面が、多ければ差し引かれる面が大きくなると考えられます。
ITTOAでは、修繕が必要な物件も直さないまま自社で買い取っています。査定は無料で、どの工事をどう見込んだかもご説明します。

買取価格が仲介の想定価格より低くなるのは、業者が再生後の売値から修繕費・諸経費・想定外への備え・利益を差し引いて価格を出すためです。差し引かれている項目を1つずつ分解し、売主の資料や情報で小さくできる部分がどこかを試算例とあわせて示します。
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