収益還元法の使い方。利回りの数字をどう読むか
査定書に並ぶ利回りの数字は、どれも同じものではありません。表面利回りと純収益の違い、還元利回りの意味を、査定書の読み方として整理します。
続きを読む収益還元法が「いくら稼ぐか」なら、積算評価は「資産としていくらか」。査定書のもう一方の柱を、計算の中身から読み解きます。
査定書には、収益還元法による価格と並んで「積算価格」が載っていることがあります。同じ物件なのに金額が違うため、どちらを見ればよいのか迷われる方が多いところです。
2つは、測っているものが違います。収益還元法は「その物件がいくら稼ぐか」、積算評価は「資産としていくらの裏付けがあるか」です。
積算価格 = 土地評価額 + 建物評価額
土地と建物を別々に評価して足し上げます。順に見ていきます。
路線価や公示地価などをもとに、面積を乗じて求めます。形が悪い、間口が狭い、接道が弱いといった条件は、補正として反映されます。
建物が古くなるほど、この土地部分が積算価格のほとんどを占めるようになります。築古物件の価格は、実質的に土地値で決まると言われるのはこのためです。
建物評価額 = 再調達価格 × 延床面積 ×(残存年数 ÷ 法定耐用年数)
再調達価格は「今もう一度同じ建物を建てるといくらか」の目安です。そこに、築年数による目減りを掛けます。法定耐用年数は構造で決まっています。
| 構造 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造 | 22年 |
| 軽量鉄骨造 | 19〜27年 |
| 重量鉄骨造 | 34年 |
| レンガ・コンクリートブロック造 | 38年 |
| RC造・SRC造 | 47年 |
木造アパートなら22年を過ぎると、この式の上では建物評価がほぼ残りません。実際にはまだ十分使える建物でも、積算上はゼロに近づきます。
この考え方が、金融機関の担保評価に近いためです。積算価格が高い物件は融資が付きやすく、買える人の母数が増えます。母数が増えれば、売るときに有利になります。
逆に、収益還元法では価格が出るのに積算が低い物件は、「利回りは良いが融資が付きにくい」状態になりがちです。地方の築古一棟物件で起きやすいパターンです。
| 状態 | 読み方 |
|---|---|
| 収益還元 > 積算 | 稼ぐ力はあるが資産の裏付けが薄い。買主が限られやすい |
| 収益還元 < 積算 | 土地の価値が大きい。運用の改善余地や、用途転換の余地を見る |
| 両方とも低い | 立地と収支の両面から、売却の判断を早めに |
どちらか一方だけを見ると判断を誤ります。当社では、この2つに取引事例比較法を加えた3つを組み合わせ、それぞれの根拠を明示したうえで価格をご提示しています。
法定耐用年数は税務・評価上の区切りであって、建物の寿命ではありません。実際、当社が買い取る物件の多くは耐用年数を超えています。
当社は融資を前提としない自己資金での買取のため、積算評価が低いことがそのまま買取不可にはなりません。土地の価値と現況の収支、再生後の実力を組み合わせて評価します。
評価の手法は査定方法のページで公開しています。他社の査定書と見比べたい場合も、お気軽にご相談ください。
売るべきか迷う段階のご質問だけでも構いません。
秘密は厳守します。