
売却を決めたら、入居募集は止めるべきか。買主の種類で変わる答え
売却を決めた物件の入居募集を続けるか止めるかは、誰に売るかで答えが変わります。家賃収入を見る投資家なら募集を続けるのが基本、建て替えや自分で使う買主なら新しい入居は妨げになりえます。買主の種類ごとの比較表と、1戸埋めると価格にどう効くかの計算例、止める前に確認したいことを示します。
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家賃を下げて満室にすると、見た目の入居率は上がりますが、利回りで価格を計算する買主からは評価が下がることがあります。空室分だけ下げる場合と全戸を下げる場合の価格の試算、買主がレントロールで確認する点、得になる場合とならない場合の判断基準をまとめました。
家賃を下げて満室にしても、売却価格が上がるとは限りません。空室分だけ相場並みに下げて埋めるなら実際の収入が増えて評価につながることがありますが、既存の部屋まで下げたり、費用をかけて無理に埋めたりすると価格は下がりやすくなります。
家賃を下げて満室にしてから売ることが得になるかは、どの部屋の家賃を、どれだけ下げるかで答えが変わります。空いている部屋だけを相場並みに下げて埋めるなら、実際の家賃収入が増え、評価につながることがあります。
一方で、住んでいる人の家賃まで下げたり、相場を大きく下回る家賃で埋めたりすると、利回りで価格を計算する買主からは評価が下がりやすくなります。入居率ではなく、年間の家賃収入がどう変わるかで考えるのが基本です。
収益物件の多くは、表面利回り(年間家賃÷物件価格)や、経費を差し引いた実質利回りをもとに価格が検討されます。買主が「この地域・この築年数なら利回り◯%で買いたい」と考えるため、年間家賃が減れば、同じ利回りで割り戻した価格も下がります。

例えば、買主が表面利回り10%を求める場合、年間家賃が12万円減ると、価格の目安は120万円下がる計算です。1戸あたり月1万円の値下げは小さく見えても、価格では10倍の差になって表れます。
経費は家賃を下げても減らないため、手取りで見ると影響はさらに大きくなります。例えば、年間家賃600万円、経費150万円の物件で家賃を1割下げると、家賃の減少は60万円ですが、手取りは450万円から390万円へと約13%減ります。経費を差し引いた実質利回りで価格を考える買主にとっては、この差がそのまま評価に響くことになります。
利回りの計算方法は、表面利回りと実質利回りの記事で詳しく触れています。
試算の前提は次のとおりです。数字は計算を分かりやすくするための例で、実際の相場を示すものではありません。

| ケース | 年間家賃収入 | 価格の目安(利回り10%) |
|---|---|---|
| A:そのまま売る(7戸入居) | 420万円 | 4,200万円 |
| B:空室の3戸だけ4.3万円で埋める | 574.8万円 | 5,748万円 |
| C:全10戸を4.3万円にそろえて満室 | 516万円 | 5,160万円 |
この前提では、Bのように空室だけを埋めると、実際の収入が増えて価格の目安も上がります。一方、Cのように住んでいる人の家賃まで下げると、同じ満室でもBより588万円低くなります。
ただし、実際の買主は、Aの物件を見て「空室を埋めれば収入が増える」という余地も考えます。空室のまま売っても、Aの計算ほど低く評価されるとは限りません。
試算のBが常に得になるわけではありません。買主は、レントロール(家賃明細表)で次のような点を確認します。
| 確認される点 | 買主の受け止め方 |
|---|---|
| 最近入居した部屋の家賃が低い | 今の相場はこの水準で、既存の部屋も退去後は下がると見る |
| 入居日が売却直前に集中している | 売るために埋めたのではと考え、長く住むかを慎重に見る |
| 広告料やフリーレント(一定期間の家賃無料)を多く使った | 実際の手取りは家賃ほど多くないと判断する |
| 同じ建物で家賃の差が大きい | 家賃の見直しを求められるリスクを意識する |
とくに、低い家賃で入った部屋があると、買主は既存の入居者も将来は同じ水準になると考えがちです。その結果、Bの収入をそのまま評価せず、Cに近い水準で価格を考えることもあるでしょう。
満室にするまでにかかる時間と費用も差し引いて考える必要があります。広告料や室内の手直しに費用をかけ、半年かけて埋めた場合、その間の返済や固定費も負担が続きます。
家賃を下げる前に、ほかの手が使えないかを確かめる価値もあります。敷金や礼金などの初期費用の見直し、募集を出す不動産会社の数、室内の写真の撮り直しなど、家賃そのものを変えずに反響を増やせる場合があるためです。こうした工夫で埋まれば、家賃の水準を保ったまま売却に進めます。
全空に近い物件で、満室にしてから売るべきかという判断は、全空のアパートの記事でも詳しく取り上げています。
空室を埋める費用や時間を見込むため、その分は価格に反映されます。ただし、家賃を無理に下げて埋めた物件より、空室のまま相場の家賃で再生できる物件のほうが評価しやすい場合もあります。
近くの似た物件の募集家賃と、募集期間を調べることです。相場との差が小さいのに埋まらない場合は、家賃以外に原因があるかもしれません。
家賃を下げるかどうかは、下げた場合と、今のまま売った場合の価格を並べると判断しやすくなります。ITTOAでは空室が多い物件や全空の物件も自社で買い取っており、査定は無料です。
レントロールをお送りいただければ、現状のままでの価格の目安をお伝えできます。入居付けを進めるか迷っている段階でのご相談でも構いません。

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