
買取価格は相場の何割か。「何割」で答えにくい理由と価格の組み立て方
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表面利回りは年間家賃÷価格、実質利回りは空室と経費を引いた収入÷価格です。広告や最初の問い合わせは表面利回りで始まりますが、価格を決める段階では実質の数字で詰められます。同じ物件での具体的な計算例と、売主が用意しておきたい資料の一覧を示します。
売り出しの入口は表面利回りで話が進みますが、買主が価格を決めるのは経費と空室を差し引いた実質の収入です。売主は実際の経費と入居状況を示せるよう準備しておくと、話が早く進みます。
収益物件を売るとき、最初に話題になるのは表面利回り(年間家賃÷物件価格)です。広告にもこの数字が載り、「利回り何%なら売れるか」という会話もここから始まります。
ただし、買主が最終的な価格を決めるときに使うのは、経費や空室を差し引いた実質利回りのほうです。入口は表面、詰めは実質。この二段階を知っておくと、査定額の説明が理解しやすくなります。
表面利回りは、家賃の合計を価格で割るだけの簡単な数字です。経費も空室も考えないため、物件同士をざっと比べるのに向いています。
実質利回りは、家賃から空室による減収と運営の経費を引き、残った収入を価格で割ったものです。この残った収入はNOI(営業純収益。家賃から経費を引いた、借入返済前の収入)と呼ばれます。計算に購入時の諸費用を含めることもあり、会社によって式が少し違う点には注意が必要です。
| 種類 | 計算式 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 表面利回り(満室想定) | 全室が埋まった場合の年間家賃÷価格 | 広告、最初の問い合わせ |
| 表面利回り(現況) | いま入居している部屋の年間家賃÷価格 | 空室がある物件の比較 |
| 実質利回り | (年間家賃−空室損−経費)÷価格 | 買主の収支計算、価格交渉 |
同じ「表面利回り」でも、満室想定か現況かで数字が変わります。資料に書くときは、どちらの数字かを明記しておきましょう。
例えば、次の前提で計算してみます。価格5,000万円、全8戸、満室なら年間家賃500万円のアパートです。空室による減収は年50万円と置きます。経費は年110万円で、管理委託料、固定資産税など、修繕費、保険料、共用部の電気代・清掃費を合計した額です。
| 項目 | 金額・利回り |
|---|---|
| 満室想定の年間家賃 | 500万円 |
| 表面利回り(満室想定) | 500÷5,000=10.0% |
| 空室損を引いた家賃収入 | 450万円 |
| 経費を引いたNOI | 450−110=340万円 |
| 実質利回り | 340÷5,000=6.8% |
| 諸費用(仮に350万円)を含めた場合 | 340÷5,350=約6.4% |
表面では10%の物件が、実質では6%台になりました。築年数が古く修繕費がかさむ物件ほど、この差は大きくなりやすいと言えます。
なお、ここでの経費は毎年かかる費用です。屋根や外壁の大きな工事は毎年は発生しないため、買主は別枠で「近いうちに必要な工事」として価格から差し引くことが多いでしょう。
仲介の広告や最初の問い合わせでは、表面利回りが目安として使われます。多くの物件を短時間で比べるには、計算が簡単な数字が便利だからです。
一方、買主が「いくらなら買えるか」を考える段階では、NOIを自分の求める利回りで割り戻して価格を出します。この考え方は収益還元法の使い方でも触れています。融資を使う買主は、金融機関にも実際の収支を示す必要があるため、なおさら実質の数字を重視するでしょう。
つまり、表面利回りが高く見えても、経費の実態が分からなければ価格は決まりません。資料が乏しいと、買主は経費を多めに見積もって安全側の価格を出すというケースも少なくありません。
実質の数字を根拠をもって示せると、買主の見積もりが実態に近づきます。次の資料をそろえておくと話が進めやすくなります。
とくに修繕の記録は大切です。記録がなければ買主は将来の修繕費を想定で置くしかなく、その想定は厳しめになりがちです。
経費のかかり方が物件ごとに違うからです。例えば、同じ表面10%でも、築浅で修繕の少ない物件と、屋根や給排水の工事が近い物件では、残る収入が変わります。立地による空室の出やすさも、実質の数字を左右します。
一般的には入りません。返済額は借りる人によって違うため、物件そのものの収益力を見るNOIは返済前の数字で出します。返済を含めた手残りは、買主がそれぞれ別に計算します。
入居が決まれば現況の数字は良くなります。ただし、そのために家賃を下げたり広告料をかけたりすると、実質の収入はかえって減ることがあります。入居付けの費用と価格への効果を比べてから決めるとよいでしょう。
ITTOAは物件を自社で買い取るため、実際の収支と建物の状態をもとに価格を出します。資料がそろっていなくても、分かる範囲から査定は可能です。査定の考え方は査定方法のページにまとめています。

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