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金利・返済

自己資金を入れて持ち続けるか、売って身軽になるか。5年後の手元資金で比べる

自己資金を入れて持ち続けるか、売って身軽になるか。5年後の手元資金で比べるのイメージ

返済が重くなったとき、貯蓄を繰上返済に入れて持ち続けるか、物件を売って借入をなくすかは、5年後に手元に残るお金で比べると判断しやすくなります。家賃収入・修繕・5年後の売却価格の前提を楽観と慎重の2通りに置いた試算表で、どこが分かれ目になるかを具体的な数字で示します。

結論

繰上返済で持ち続けるか売るかは、5年間の手残りと5年後の売却手取りを足した「5年後の手元資金」で比べるのが実践的です。家賃が保てて価格が大きく下がらなければ持つ側、空室や大きな修繕が重なるなら売る側が有利になりやすいと言えます。

金利が上がって返済が重くなったとき、多くのオーナーが迷う選択があります。「貯蓄を繰上返済に回して持ち続けるか、それとも物件を売って借入をなくすか」です。

この比較は、5年後に手元にいくら残っているかという一つの数字にそろえると判断しやすくなります。持ち続ける場合は「5年間の手残り」と「5年後に売った場合の手取り」の合計、売る場合は「今の売却手取り」が比べる対象です。

比べ方の基本:3つの選択肢を同じ物差しにそろえる

自己資金の使い方を含めると、選択肢はおおむね3つに分けられます。

持ち続ける場合の5年後の手元資金の計算式の図。残した貯蓄、5年間の手残り、5年後に売った場合の売却手取りを足す。繰上返済して持つ楽観ケースでは、200万円+520万円+1,698万円で約2,418万円になる。
選択肢 内容 5年後の手元資金の出し方
A:繰上返済して持つ 貯蓄の一部で借入を減らし、毎月の返済を軽くする 残した貯蓄+5年間の手残り+5年後の売却手取り
B:今売る 売却代金で借入を完済し、貯蓄はそのまま残す 貯蓄+今の売却手取り
C:貯蓄を温存して持つ 繰上返済はせず、今の返済のまま持ち続ける 貯蓄+5年間の手残り+5年後の売却手取り

AとCは、5年後に物件を売ったと仮定して数字を出します。実際に売るかどうかではなく、「その時点で現金に換えるといくらになるか」をそろえるための工夫です。

試算の前提

例えば、次の前提で計算してみます。数字はきりのよい仮の値です。

  • 物件の今の査定額は3,000万円、売却にかかる諸費用は仮に100万円
  • 借入の残り(残債)は2,500万円、金利2.5%、残りの返済期間15年、元利均等返済
  • 貯蓄は1,000万円。Aでは800万円を繰上返済に入れ、毎月の返済額を下げる形(返済額軽減型)とする
  • NOI(家賃から経費を引いた、返済前の収入)は、楽観ケースで年240万円、慎重ケースで年200万円
  • 5年後の売却価格は、楽観ケースで3,000万円、慎重ケースで2,200万円。慎重ケースでは5年の間に300万円の修繕が入る

この前提では、年間の返済額はCで約200万円、Aで約136万円になります。5年後の残債は、Cで約1,768万円、Aで約1,202万円です。

試算の結果:5年後の手元資金

3つの選択肢の5年後の手元資金を比べた図。繰上返済して持つと楽観ケースで約2,418万円・慎重ケースで約1,118万円、今売ると1,400万円、貯蓄を温存して持つと約2,332万円・約1,032万円。税金は含めていない。
選択肢 楽観ケース 慎重ケース
A:繰上返済して持つ 約2,418万円 約1,118万円
B:今売る 1,400万円 1,400万円
C:貯蓄を温存して持つ 約2,332万円 約1,032万円

Aの楽観ケースの内訳は3つです。残した貯蓄200万円、5年間の手残り520万円(年104万円×5年)、5年後の売却手取り1,698万円(3,000万円−残債1,202万円−諸費用100万円)を足しています。Bは、貯蓄1,000万円に今の売却手取り400万円を足した額になります。

楽観ケースでは持ち続ける側が大きく上回り、慎重ケースでは今売る側が上回りました。分かれ目は、家賃収入が保てるかと、5年後の価格がどこまで下がるかにあると言えます。なお、所得税などの税金と、貯蓄を運用した場合の増減は含めていません。税金を含めた比較は税理士に確認が必要です。

数字に表れにくい点も並べておく

試算表だけでは決められない要素もあります。次の点は、数字と並べて考えておきたいところです。

  • 手元資金の薄さ:Aは繰上返済で貯蓄が200万円に減ります。慎重ケースのような300万円の修繕が急に来ると、資金繰りが苦しくなるおそれがあります
  • 金利がさらに上がる可能性:同じ前提で金利が3.5%になると、Cの年間返済は約215万円に増えます。繰上返済で残債を減らしたAのほうが、金利上昇の影響は小さくなります
  • 繰上返済の手数料:固定金利の期間中は、手数料が高い契約もあります
  • 管理の手間と年齢:5年後に自分が管理を続けられるか、引き継ぐ人がいるか

繰上返済は一度入れると戻せないお金です。「返済を軽くしたい」という理由だけで決めず、修繕に備える資金を残せるかを先に確かめるほうがよいでしょう。借入の条件を見直す手としては、借り換えと売却の比べ方も参考になります。

自分の物件で試算するときの手順

  1. 今の査定額と、決済日で全額返済した場合の残債・手数料を確認する
  2. 1年分の家賃と経費を並べてNOIを出す。作り方は手残りを1枚の表にする方法が参考になります
  3. 繰上返済の額を決め、金融機関に返済額と5年後の残債を試算してもらう
  4. 5年間の修繕予定を書き出し、楽観と慎重の2つのケースで価格とNOIを置く
  5. 3つの選択肢の5年後の手元資金を表にする

慎重ケースの価格をどこに置くかで結論が変わるため、査定を取ったうえで、築年数や地域の需要から控えめに見積もるのが現実的です。

よくある質問

繰上返済は、期間短縮型と返済額軽減型のどちらがよいですか。

総支払額を減らす効果は期間短縮型が大きいとされます。一方、毎月の資金繰りを楽にしたいなら返済額軽減型です。売却も視野に入れているなら、手元の資金繰りを優先する考え方もあるでしょう。

5年ではなく10年で比べてもよいですか。

比べられますが、先になるほど価格や家賃の前提が不確かになります。まず5年で比べ、結果がどちらかに大きく傾くかを見るのが扱いやすい方法です。

今の価格を1つ置いてみる

比較の出発点は「今売ったらいくらか」です。ITTOAの査定は無料で、売却を決めていない段階でも、試算の材料として価格をお伝えしています。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたものです。個別の物件については状況によって判断が変わりますので、具体的な相談はお問い合わせフォームまたはお電話でお寄せください。

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