
修繕費を借入でまかなう前に考えること。金利が上がる局面での比べ方
金利が上がる局面で修繕を借入でまかなうと、修繕の効果が出る前から返済が始まり、変動金利なら返済額が後から増えることもあります。1,000万円を10年で借りた場合の試算と…
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複数の物件を持つオーナーが金利上昇期に1棟だけ売るなら、いちばん赤字の物件が正解とは限りません。返済比率・金利タイプ・築年数・担保の付き方の4つで候補を絞り、売った後に残るお金と、残る物件の返済の軽さで優先順位を決める方法を、3棟の想定例で示します。
どれから売るかは、返済比率の高さだけでなく「売って残債を返し切れるか」と「売った後に全体の返済がどれだけ軽くなるか」で決めます。変動金利で借りていて築年数が進み、査定額が残債を上回る物件が、最初の候補になりやすいと言えます。
複数の物件を持っていて、金利上昇で返済が重くなってきたとき、1棟だけ売るならどれから手放すか。答えはいちばん赤字の物件とは限りません。売った後に手元に残るお金と、残った物件全体の返済の軽さで決めるのが基本です。
赤字の物件ほど、売っても借入を返し切れないことが多いからです。売れない物件を先に動かそうとして時間を使うより、売れる物件で全体を立て直すほうが、選択肢が広がる場合があります。
判断に使う物差しは、次の4つです。どれか1つで決めず、表のように並べて見ます。
| 物差し | 売る候補になりやすい状態 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 返済比率 | 年間返済額÷年間家賃収入が高い | 返済予定表、レントロール(家賃明細表) |
| 金利タイプ | 変動金利で、見直しの時期が近い | 金銭消費貸借契約書(ローンの契約書) |
| 築年数 | 大規模修繕が近い、買主の融資期間が短くなる築年数に近づいている | 修繕履歴、登記簿の建築年 |
| 担保の付き方 | その物件だけに担保が付いていて、単独で売りやすい | 登記簿(全部事項証明書)の抵当権の欄 |
返済比率の計算方法は返済比率の計算で紹介しています。空室や経費を入れた実態の数字で比べると、物件ごとの差がはっきりします。
返済比率が高く、しかも変動金利の物件は、金利が上がるたびに負担が増えます。一方、固定金利の期間中の物件は、しばらく返済額が変わりません。今の重さだけでなく、この先の数年で重くなる物件はどれかを見ることが大切です。
築年数が進むと、買主が借りられる期間が短くなり、買える価格も下がりやすくなります。屋根や外壁の工事が近い物件も、工事の前と後で判断が変わります。持ち続けるほど条件が悪くなる物件は、早めに候補に入れておきたいところです。
1つの借入に複数の物件をまとめて担保にしている場合を、共同担保と呼びます。この場合、1棟だけを売るには、金融機関に担保を外してもらう必要があります。どれだけ返済すれば外してもらえるかは金融機関との話し合いで決まるため、事前の確認が欠かせません。
例えば、次の3棟を持っているとします。数字はきりのよい想定で、税金や売却にかかる費用は含めていません。
| 物件 | 築年数・金利 | 年間家賃 | 年間返済 | 返済比率 | 残債 | 査定額の想定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A 木造アパート | 築35年・変動 | 360万円 | 180万円 | 50% | 1,500万円 | 2,000万円 |
| B RCマンション | 築20年・固定 | 900万円 | 420万円 | 約47% | 6,000万円 | 7,000万円 |
| C 木造アパート | 築10年・変動 | 480万円 | 300万円 | 約63% | 4,500万円 | 4,000万円 |
返済比率がいちばん高いのはCです。しかしCは査定額が残債を500万円下回っており、売るには不足分を用意する必要があります。
Aは返済比率こそCより低いものの、変動金利で築年数も進んでいます。査定額が残債を上回るため、売れば借入を返し切ったうえで手元にお金が残る計算です。そのお金をCの繰上返済に回せば、Cの返済比率を下げられる可能性もあります。
売却の前後で全体を並べてみます。売る前は、変動金利の借入がAとCで合計6,000万円あります。Aを売り、手元に残る500万円をCの繰上返済に回すと、変動金利の借入はCの4,000万円だけになります。
返済比率の平均は大きく変わらないかもしれません。それでも、金利が上がったときに影響を受ける借入が3分の2に減る点は、この先の数年を考えるうえで意味があります。数字の改善だけでなく、変化に対する弱さが減るかどうかも見ておきたいところです。
この想定では、Aを最初の候補とし、Cは返済の見直しや借り換えを並行して検討する形が考えられます。Bは固定金利の期間と大規模修繕の予定を確かめたうえで、当面は持ち続ける判断もあり得るでしょう。
借り換えで持ち続けられる物件かどうかは、借り換えと売却の比べ方で確かめられます。売る物件と持つ物件を分けるときの判断材料になります。
1棟ずつでは残債を返し切れなくても、まとめれば全体で返せる場合があります。共同担保で1棟だけ外すのが難しいときも、まとめて売る意味があります。考え方は複数の物件をまとめて売る方法をご覧ください。
売る物件が決まり、担保や一括返済の条件を確認する段階で相談するのが一般的です。共同担保がある場合は、売り出す前に話しておくと、後から条件が合わずに止まる事態を避けやすくなります。
どれから売るかは、全物件の家賃・返済・残債・査定額を1枚に並べると見えてきます。査定額が分からない物件があれば、そこを埋めるのが最初の一歩です。
ITTOAは、一棟アパート・マンションから戸建・土地まで自社で買い取っています。査定は無料で、複数の物件をお持ちの場合も、売るかどうかを決める前の段階からご相談いただけます。

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