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路線価・固定資産税評価額・実際の売買価格は、なぜ違うのか

路線価・固定資産税評価額・実際の売買価格は、なぜ違うのかのイメージ

路線価は相続税の計算用、固定資産税評価額は固定資産税の計算用で、どちらも売買価格を示すものではありません。3つの価格の目的と水準の違い、地方の収益物件で実際の売買価格との差が大きくなりやすい理由、売却を考えるときの使い方と試算例をまとめました。

結論

3つの価格は目的が違うため、一致しないのが普通です。路線価や固定資産税評価額は土地の目安にとどまり、地方の収益物件の売買価格は、家賃収入と建物の状態、買主の数で決まる部分が大きくなります。

路線価、固定資産税評価額、実際の売買価格の3つは、作られた目的が違うため、一致しないのが普通です。路線価は相続税・贈与税の計算に、固定資産税評価額は固定資産税の計算に使うための価格で、「この値段で売れる」という意味は持っていません。

とくに地方の収益物件では、税金用の価格と売買価格の差が大きくなりやすい傾向があります。理由を知っておくと、査定額を見たときに「なぜこの金額なのか」を落ち着いて判断しやすくなるでしょう。

3つの価格は、それぞれ何のためにあるのか

まず、それぞれの価格を誰が、何のために決めているのかを比べます。

価格 決める機関 目的 水準の目安
路線価 国税庁(国税局) 相続税・贈与税の土地の評価 地価公示価格などの80%程度が目途
固定資産税評価額 市町村 固定資産税などの計算 宅地は地価公示価格などの7割が目途
実際の売買価格 売主と買主 取引そのもの 当事者が合意した金額

国税庁によると、令和8年分(2026年分)の路線価は1月1日を評価時点とし、地価公示価格などを基にした価格の80%程度を目途に定められています。路線価が付いていない地域は「倍率地域」と呼ばれ、固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける方式で評価します。

固定資産税評価額は、総務省の説明では3年に一度見直されます。建物は、同じ建物を今建てた場合の費用に、年数に応じた減価を反映して計算します。

基準になっている地価公示は、国土交通省が毎年1月1日時点の価格を公表しているもので、2026年分は3月18日に公表されました。

税金用の価格が、売買価格とずれる理由

税金用の価格は、全国の土地を同じルールで、公平に評価するために作られています。そのため、個別の事情はほとんど反映されません。

  • 建物の中身を見ていない:固定資産税評価額の建物部分は年数による計算が中心で、雨漏りや設備の傷みは入りません
  • 家賃収入を見ていない:満室の物件も全空の物件も、税金用の評価は同じ考え方です
  • 時点がずれる:1月1日時点や、3年ごとの見直しで決めた価格を使うため、足元の動きは遅れて反映されます
  • 買主の数を見ていない:買いたい人が少ない地域でも、評価の計算式は変わりません

一方、実際の売買価格は「この物件を、この条件で買う人がいるか」で決まります。税金用の価格が高めに見えても、買主が見つからなければその金額にはなりません。

地方の収益物件で、差が大きくなりやすい理由

地方の一棟アパートなどでは、次のような事情が重なり、税金用の価格との差が開きやすいと言えます。

1つ目は、収益還元法(家賃収入から価格を逆算する評価方法)で見られる点です。投資用の物件は、土地の値段よりも、家賃からいくら手元に残るかが重視されます。空室が多ければ、土地の評価が高くても価格は伸びにくくなります。

2つ目は、取引の件数が少ない点です。地価公示などの基準になる取引事例が少ない地域では、目安の価格と実際の取引が合いにくくなります。

3つ目は、解体や修繕の費用です。建物が古い場合、買主はその費用を差し引いて価格を考えます。土地の評価額から、こうした費用が引かれるケースも少なくありません。

なお、2026年地価公示では、地方圏の住宅地の平均変動率は+0.9%でした。ただし平均の数字であり、個別の物件の価格を示すものではない点に注意が必要です。

売却を考えるとき、3つの価格をどう使うか

税金用の価格は、使い方を決めておくと役に立ちます。

  • 土地のおおよその水準をつかむ:路線価を0.8で割ると、地価公示の水準に近い目安になります
  • 査定額との差の理由を聞く材料にする:差が大きいときは、家賃、建物の状態、解体費など、どこで差が出たかを確認します
  • 売買価格そのものとは考えない:あくまで出発点の一つにとどめます

例えば、試算の前提を「路線価が1㎡あたり4万円、土地の面積が300㎡」とします。4万円÷0.8=5万円なので、地価公示の水準に置き直すと、土地だけで1,500万円程度が目安です。

ただ、この土地に築40年の全空アパートが建っていれば、買主は解体費や再生費用を差し引きます。査定額が1,500万円を下回ることは、特別な話ではないでしょう。反対に、満室で家賃が安定していれば、土地の目安を上回る場合もあります。

査定額がどう組み立てられているかは、積算評価(土地と建物の価値を足し上げる評価方法)の記事でも詳しく触れています。

よくある質問

固定資産税の納税通知書の金額で売れると考えてよいですか

そう考えるのは避けたほうがよいでしょう。通知書の評価額は税金を計算するための価格で、家賃収入や建物の傷みは反映されていません。売買価格は、査定で個別に確認する必要があります。

路線価が上がっていれば、物件も高く売れますか

土地の目安が上がったことは分かりますが、収益物件の価格は家賃と建物の状態に大きく左右されます。路線価の上昇が、そのまま売買価格の上昇になるとは限りません。

相続税の計算にはどの価格を使いますか

相続税の計算の方法は個別の事情で変わるため、税理士に確認することをおすすめします。

価格の差の理由を、査定で確かめる

税金用の価格と査定額の差が気になる場合は、差の理由を一つずつ確認するのが近道です。ITTOAの査定は無料で、どの要素で価格を見ているかを査定方法のページにまとめています。

遠方の物件でも、資料のやり取りと電話・オンラインで確認を進められます。売却するかどうか決めていない段階のご相談でも構いません。

参考にした情報

本記事は一般的な情報の提供を目的としたものです。個別の物件については状況によって判断が変わりますので、具体的な相談はお問い合わせフォームまたはお電話でお寄せください。

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