
変動金利の「5年ルール・125%ルール」は、アパートローンにもあるのか
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金利が上がると、買主の借入コストが増え、求める利回りも上がりやすくなります。利回りが0.5%動くと価格がどれだけ変わるかを計算例で示し、2026年の長期金利や投資家調査の数字をどう読めばよいか、売主が今のうちに確かめておきたい点まで具体的にまとめます。
収益物件の価格は「家賃から経費を引いた収益÷買主が求める利回り」で考えられることが多く、金利が上がって求める利回りが上がると価格は下がる方向に働きます。ただし実際に下がるかは物件と買主の資金の出し方によります。
金利が上がると収益物件の価格が下がりやすいのは、買主が求める利回りの水準が、借入コストに引っ張られて上がるからです。家賃収入が同じでも、求められる利回りが上がれば、その収入に払える価格は下がります。
ただし、これは価格が動く方向を示す理屈です。実際に価格が下がるかどうかは、物件の立地や状態、買主が借入を使うかどうかで変わります。
収益物件の価格は、収益還元法(物件が生む収益から価格を求める方法)で考えられるのが一般的です。もっとも簡単な形は、次の式です。
価格=1年間の純収益÷買主が求める利回り
純収益は、家賃収入から空室による損失や管理費、固定資産税、修繕費などを引いた金額です。分母の利回りが上がると、同じ純収益でも価格は小さくなります。詳しい考え方は収益還元法の記事でも紹介しています。
1つ目は、買主の借入コストです。借入で物件を買う人は、利回りが借入金利を十分に上回らないと手元にお金が残りません。金利が上がると、同じ利回りの物件では収支が合わなくなり、より高い利回り、つまり低い価格でないと買わなくなります。
2つ目は、ほかの運用先との比べ方です。国債など安全な運用先の利回りが上がると、手間とリスクのある不動産にはそれ以上の上乗せが求められやすくなります。
財務省の国債金利情報では、10年国債の金利が2026年9月2日に3.006%と3%を上回り、9月14日は2.988%でした。短期の側でも、日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げています。長短の金利がそろって上がっている状況は、買主の計算に影響しやすいと言えます。
例えば、試算の前提を「1年間の純収益が600万円の一棟アパート」とします。買主が求める利回りだけを変えて、価格を計算すると次のとおりです。
| 買主が求める利回り | 価格の目安 | 8.0%との差 |
|---|---|---|
| 7.5% | 8,000万円 | +500万円 |
| 8.0% | 7,500万円 | ― |
| 8.5% | 約7,059万円 | 約−441万円 |
| 9.0% | 約6,667万円 | 約−833万円 |
利回りが8.0%から8.5%に上がるだけで、価格は約6%下がります。利回りが低い物件ほど、同じ0.5%の変化による価格の動きは大きくなります。純収益が同じ600万円でも、5.0%から5.5%なら1億2,000万円から約1億909万円へと、1,000万円以上の差になる計算です。
日本不動産研究所の不動産投資家調査(2026年4月現在)には、期待利回り(投資家が標準的な物件に求める利回り)が載っています。賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)では、札幌が4.9%、広島が5.0%でした。地方都市はいずれも前回から横ばいで、この時点では利回りの上昇、つまり価格の下落方向の動きは見られていません。
また、この調査は主要都市の条件の良い物件を想定した投資家の目線です。地方の築古アパートの実際の取引利回りとは前提が違います。同じ調査で、投資家が挙げたリスク要因の最多が「金利の上昇」だった点は、先行きへの意識として参考になるでしょう。
金利の動きは売主には変えられませんが、価格の計算に使われる材料は、売主の側で整えられます。とくに次の3点は、査定の前に確かめておくと話が進めやすくなります。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 1年間の純収益 | 分子が小さく見積もられると、利回りの議論以前に価格が下がる。家賃の明細と経費の資料をそろえる |
| 主な買主が借入を使う層か | 借入に頼る買主が中心の物件ほど、金利の影響を受けやすい |
| 家賃や経費に見直しの余地があるか | 純収益が増えれば、利回りの上昇による価格の下落を一部打ち消せる |
築年数が古く規模の小さい地方の物件は、もともと融資を使わない買主が多いこともあります。その場合、金利の変化が価格に及ぼす影響は、都市部の新しい物件と同じ大きさにはならないでしょう。物件ごとに、誰が買いそうかを考えることが大切です。
すぐに一律で下がるわけではありません。買主が求める利回りは、取引の積み重ねで少しずつ変わります。物件ごとの需要や状態の影響のほうが大きい場面も多いと言えます。
違います。表面利回り(年間家賃÷物件価格)は経費を引く前の数字です。この記事の試算は、経費を引いた純収益で計算しているため、表面利回りより低い数字になります。
近い条件の物件の売り出し利回りは参考になりますが、売り出し価格は成約価格とは違います。純収益を正確に出したうえで、査定を受けて確かめるのが確実です。
価格を考えるときは、利回りの数字より先に、1年間の純収益を正確に出すことが出発点になります。家賃の明細と経費の資料があれば、ITTOAでも無料で査定します。評価に使った利回りなど、分からない点はお気軽にお尋ねください。
査定で見ている点は査定方法のページにまとめています。

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